少年ジャンプについて

少年ジャンプが初めて刊行されたのが1968年、月2回の木曜日が発売日でした。
ジャンプの初代編集長が「アンケート人気投票制度」や「新人専属契約制度」などの仕組みを作りました。


その当時は戦争の戦闘機や、戦車などのイラストなどの特集ばかりが組まれていて、戦争の良く見える部分だけを取り上げたような記事に疑問を感じた彼は、「こんなものを見て子供達は楽しいのか?」と思い、読者アンケートを敢行しました。
その結果、子供達はマシンや技術への興味関心があるだけで、戦争に対しては「してはいけない事」との認識が多かったことに安心し、次に50の言葉の中から出される設問に沿った言葉を選んでもらうイメージ調査では

一番心あたたまる言葉・・・友情
一番大切に思う言葉・・・努力
一番嬉しいことは・・・勝利

という結果になりました。
これをスローガンにしようと思い立ち、現在でもこの方針が漫画家たちに受け継がれています。

●有名な作品
ドラゴンボール
NARUTO
こちら亀有公園前派出所
ジョジョの奇妙な冒険
ヒカルの碁
星闘士星矢
HUNTER×HUNTER

問題になった漫画

・ハレンチ学園
ジャンプが回収、打ち切りまで発展した事件になったことが今までに何度かあります。
この漫画の影響で、全国の学校でスカートめくりなどのハレンチな行為が流行してしまい、PTAから抗議がきました。
しかしジャンプ側は「漫画表現の多様性」としてなんとか連載を続行しています。

・私立極道高校
滋賀県にある実在の中学校名と校章、そして卒業生の名前を無断で作品内に掲載したことで、回収される騒ぎになりました。

・燃える!お兄さん 
主人公の担任である教諭が担任を外され、用務員をすることになり、それにたいして主人公が「先生ではなく用務員になったのだから何をしても構わない」という理屈の元に、先生に暴言を吐いたりなどして、発売直後、用務員組合から抗議の電話が殺到しました。

2000年代

●代表的な作品
・ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン
「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの第6部にあたる本作は、第3部の主人公「空条承太郎」の娘の空条徐倫が主役の物語です。牢獄に入れられた徐倫は、自らが発する謎のスタンド能力によって数奇な運命に巻き込まれていきます。

・花さか天使テンテンくん
テンテンは落ちこぼれの天使です。
額に天の文字が入っていて、全裸で羽が生えています。
人の才能の種の「サイダネ」と間違って梅干しの種を、小学生の「桜ヒデユキ」に植え付けてしまい、ヒデユキとともに才能を探す事になります。

・HUNTER×HUNTER
この漫画の人気は計り知れず、コミックの販売部数は5000万部を突破するほどの勢いです。
2011年からはアニメが放映開始になるなどますます知名度が上がりそうです。
物語の主人公、ゴンの夢は父親がそうだったように、世界の財宝や珍しい物を集めるハンターになることです。
ハンターになるには「ハンター試験」をパスしなくてはなりません。
果たしてゴンは無事に合格する事ができるのでしょうか。

時代の変遷

・遊戯王
初めて連載が始まったのは1996年で、8年間続いてきました。
コミックは全部で38巻まで発売され、特に目立つのがカードダスで、子供から大人まで大人気となり、一躍ブームを起こしました。
この物語の主人公、「武藤遊戯」は古代エジプトの「千年パズル」を手に入れた事で別の人格を持ち、闇のゲームと称して悪人たちと対決をします。
遊戯の成長が本作で一番描かれているところです。

●時代の移り変わり
2000年に入ってから新しく連載されたのは「三銃士」「無頼男」「ジョジョの奇妙な冒険ストーンオーシャン」「ノルマンディーひみつ倶楽部」などです。
このころはアニメ化された作品も半々くらいあり、全盛期と比べると人気は衰えましたが、まだまだ面白い作品は連載されていました。

90年代

1990年には、「SLAM DUNK」や「幽☆遊☆白書」が始まり、「DRAGON BALL」を合わせて3本柱と呼ばれ、大物看板作品が勢揃いすることになります。
1991年に発行部数602万部超えという大記録を達成し、新聞紙の発行部数を抜いたことでマスコミにも話題となりました。


その陰で漫画界の金字塔を打ち立てた作品、「聖闘士星矢」「魁!!男塾」「燃える!お兄さん」「シティーハンター」などが連載終了、その作品とすり替わるように連載された「幽☆遊☆白書」、1993年連載の「忍空」「とってもラッキーマン」などはアニメ化されるなど人気を勝ち取りました。


1988年に連載が始まった「ジャングルの王者ターちゃん」や「まじかる☆タルるートくん」も話の前半はそれぞれギャグ漫画・SF漫画だったのに、ある時期から格闘技漫画になって行き、ジャンプの個性が失われ、漫画評論家や以前から愛読していた読者からは「ジャンプはパワーダウンした」との声が挙がりました。


この頃は「DRAGON BALL」の存続とゲーム特集を大いに取り入れ、発行部数はわずかに上昇していきました。
「幽遊白書」が1994年に連載終了、「DRAGON BALL」と「SLAM DUNK」の2つの漫画が続いたことも手伝って、1995年には653万部という驚異的な発行部数にまで登りました。

連載開始された漫画

・地獄先生ぬ〜べ〜
1994年にコミック第1巻が発売され、色々なジャンルの混ぜ合わさったストーリーは子供にも大人にも読まれる漫画です。鵺野鳴介(ぬ〜べ〜)は小学校の担任でありながら、ある霊能力を持っています。
それは「鬼の手」と呼び、現れる悪霊たちを封印するために戦うストーリーです。


・NARUTO
初の単行本発売は2000年になります。
今や世界の至る所でコミックが読まれたり、コスプレを楽しむ人が増えています。
ナルトは忍者になるための訓練アカデミーでは落ちこぼれでした。
しかし、仲間や人との出会い、戦いによって徐々に大きく成長していきます。

ワンピースについて

漫画と言えば「ワンピース」というくらい、世界中で空前の大ヒットを記録している長編の海洋冒険漫画です。
60巻以上刊行され続け、CDやゲーム、雑誌、ファッション、映画、お菓子のパッケージなど全国至る所にワンピース現象が巻き起こっていて、知らない人はいないほどです。

●あらすじ
モンキーDルフィは海賊王になると誓いを立てますが、ある日、村を襲ってきた海賊の持つ「悪魔の実」を食べてしまいます。それを食べたルフィは、全身がゴムのように伸びる「ゴム人間」になってしまいます。
同時に悪魔の実を食べた事によって一生泳げないカナヅチになってしまいました。
それでも一人船へと乗り込みます。
そして海賊王に近づくための仲間探しが始まります。

登場人物

・モンキー・D・ルフィ
モンキー・D・ルフィ(通称ルフィ)の夢は「海賊王」になることです。
幼い頃に「悪魔の実」という特殊能力が身に付く実を食べて、全身がゴムのように伸びる「ゴム人間」になってしまいます。
共に夢を目指す仲間を集めるため、大海原に乗り出します。

・ロロノア・ゾロ
3つの刀を使う相当の腕前を持つ剣士です。
ルフィと初めて仲間になる人物で、世界一の剣豪になることを目指してルフィと共に冒険の旅に出ます。

・ナミ
世界中の海図を書くためにルフィ達と一緒に航海に出る事を決意しました。
自分の故郷の村を救うために、ときどき盗みを働く事もあります。

・ウソップ
狙撃に関しては、右に出る者はいないほどの名手です。
好意を寄せていた人物を狙う海賊を追い払ってくれたルフィ達に感謝し、仲間になる事を決めました。

・サンジ
世界中の海の食材が集まる「オールブルー」の海を目指す一流のコックです。
強力な蹴りを持っていて、対立する海賊達を吹っ飛ばします。

・トニートニー・チョッパー
自分を救ってくれた医者から医術を学んで、みんなを病から救ってあげたいという思いと、ルフィからの熱い呼びかけによって船に乗り込みます。

編集者について

週刊少年ジャンプの編集者

●長野規(ながのただす)
週刊少年ジャンプの初代編集長で、早稲田大学の政治経済学部を修了しています。
東京の中央区出身です。
1968年に少年ジャンプの編集長になり、1974年に退任して「中野祐介」に編集長の席を譲るまで精力的に漫画編集に携わりました。

◆主な活動
・友情・努力・勝利
この3つをスローガンに掲げました。
その理由は、当時戦記ものばかりだった漫画誌に疑問を投げかけ、当時編集を担当していた「少年ブック」のスローガンに掲げています。
のちのジャンプにもこの言葉が継承されていきます。

・読者アンケート
読者アンケートで連載を続けるか、打ち切りにするか、その方針の制度を決めて立ち上げました。

●中野祐介
1974年に長野規から編集長の席を任され、作品に、「サーキットの狼」などヒット作品を生み出し、200万部の発行部数を記録した事があります。

◆主な活動
「サーキットの狼」を原作、200万部突破を果たしました。
ヤングジャンプの企画立ち上げに貢献もしました。
病気治療期間が長かったため、任期は短かったようで、3代目の編集長である西村繁男が貢献していたようです。

ジャンプの編集者

●西村繁男
少年ジャンプの編集長としては3代目で、集英社には1962年に入社していて幼年誌の担当から少年ブックを経て少年ジャンプを制作しています。
1978年〜86年まで編集長を任されていました。
一時期は他の編集者などと衝突を繰り返していた経歴があります。

◆主な活動
ゆでたまご作「キン肉マン」、本宮ひろ志の「俺の空」を連載させるために積極的な交渉を行ったり、売れっ子漫画家の発掘に勤しんだりと仕事に対して情熱的な姿勢を見せています。
著書に「さらば、わが青春の『少年ジャンプ』」があります。
この本は、1994年に刊行されていて、編集者時代について語られた記録です。

歴史

集英社の「週刊少年ジャンプ」が創刊されたのは1968年7月のことです。
当時は月2回の木曜日が発売日でした。1969年の10月には人気が出て週刊化されました。
2006年からは毎週月曜日の発売になっています。ジャンプのシンボルマークには海賊のロゴマークのデザインになっています。


編集部は少年漫画を作る作者に対して「努力」「友情」「勝利」のモットーをジャンプのテーマとしています。
また、連載陣を全て専属契約の新人で揃えるという方式を取っています。
これは、少年漫画雑誌としては後発だったために、人気漫画家を確保出来なかったのでこのような対策を取ったのです。
そしてこの方針により有力な新人が次々と発掘されるようになり、ジャンプ人気の原動力になりました。


週刊少年漫画雑誌において、最大部数を誇るようになった今でも、この方針は継承されています。
また、他誌が少年向けの総合誌として体裁をとるなかで、初の漫画専門誌として創刊し人気を博しました。
これを受けて他の漫画誌も少年ジャンプのスタイルを追いかけることになります。


なお、表紙や巻頭でのアイドルのグラビアは、講談社の週刊少年マガジン、小学館の週刊少年サンデーでは見受けられますが、少年ジャンプでは採用されていません。
1990年代前半に試験的にグラビアページを設けていたことはあったものの、すぐに廃止されました。

年代別作品

・1968年からの作品
「ハレンチ学園」、「男一匹ガキ大将」、「トイレット博士」、
「アストロ球団」、「マジンガーZ」

・1970年代
1975年「1.2のアッポ」
1976年「東大一直線」
1977年「すすめ!!パイレーツ」
1975年「サーキットの狼」「ドーベルマン刑事」
1977年「リングにかけろ」
1979年「キン肉マン」
1976年「こちら葛飾区亀有公園前派出所」

・1980年代
1980年「Dr.スランプ」
「ハイスクール奇面組」
1981年「キャッツ?アイ」
「キャプテン翼」
1983年「北斗の拳」

・1990年代
「魁!!男塾」
「燃える!お兄さん」
「シティーハンター」
「幽☆遊☆白書」
「忍空」
「とってもラッキーマン」

最近の人気作品について

●ぬらりひょんの孫
ぬらりひょんの孫は現在18巻まで発売されている最近のジャンプでも人気の漫画です。
ネット上でもファンサイトやキャラクターのイラストが多く掲載されていて、男女人気の高さが窺えます。
DVD・Blu-layやドラマCDなども続々と発売されています。
特にアニメの人気が著しく、2010年7月から第1期の放送が開始され、24話+総集編、第2期は2011年7月から現在も放送中です。

・登場人物
奴良リクオ
妖怪のぬらりひょんの孫にあたる主人公です。

ぬらりひょん
リクオの祖父で、妖怪の中でも大将の地位にある妖怪です。

雪女
リクオに付き従う少女の妖怪で、ネットサイトの全国人気投票でもすごい投票数を誇っています。
リクオの護衛のために一緒に学校に通い、及川氷麗(おいかわつらら)として人間界に住んでいます。

青田坊
青田坊は破戒僧で、雪女と同じくリクオの世話をする妖怪です。
リクオたちの通う学校では倉田と名乗っています。

家長カナ
リクオと幼なじみのクラスメートで、かなりの恐がりですが、トラブルに巻き込まれる事が多々あります。

黒田坊
ぬらりひょんが治めている「奴良組」に属している妖怪で、青田坊とは特攻隊長の座を奪い合うライバルです。

・あらすじ
浮世絵中学校に在校している1年の「奴良リクオ」は何気もないごく普通の平凡な毎日を送っていました。
しかし、リクオは妖怪のぬらりひょんの孫だという事が分かり、覚醒すると祖父の血によって妖怪へと変貌し、妖怪たちのあつまりである「百鬼夜行」をまとめる首領を目指します。

バクマン。について

「バクマン。」は、2008年「少年ジャンプ」の37・38合併号から連載を開始し、2009年に初コミック化を果たしています。
現在まもなく15巻の発売を10月に控えていて、人気連載中です。
2010年の秋からテレビアニメも放送が始まってますます注目を集めています。

・あらすじ
中学生の真城最高は、進路やいろいろなことで悩んでいました。
そこへあるとき秀才と言われている高木秋人から一緒に漫画家になろうとの誘いを受けます。
最初はそれを断っていた最高でしたが、声優を目指しているという亜豆美保の家を訪ね、秋人が「自分達の描くマンガがアニメになったら声優をやってほしい」と伝えると亜豆は了承し、最高は結婚を申し込んでしまいます。

・登場人物
真城最高
中学3年生で、趣味は漫画を書くこと、叔父の川口たろうの影響を受けて育ってきた最高は、その祖父が漫画を書き続けて亡くなったことにショックを受けて以来、漫画家になる夢をあきらめていました。
高木秋人の誘いによって本気で漫画家になる道を決めます。

高木秋人
最高とは同じクラスメートで、成績はいつも学年トップの秀才で、最高に漫画家になろうと話を持ちかけました。
あだ名はシュージンと最高につけられています。
漫画の原作を主に担当して最高をサポートします。

亜豆美保
最高が密かに好意を寄せていたクラスメイトの女子で、将来は声優になりたいと思っています。
最高たちの漫画家になりたいという夢を聞かされ、漫画がアニメ化されたら声優をかってでると告白しました。

新妻エイジ
漫画に関しては「天才」と呼ばれるほどの実力を持ちます。
小さい頃から漫画を書いていて、「週刊少年ジャック」からプロデビューの誘いを受けます。

アンケート至上主義

週刊少年ジャンプでは、漫画の連載を続行するか打ち切りにするかを読者アンケートで決める方針をとっています。
このことは「アンケート至上主義」と言われます。これは少年ジャンプ初代編集長の長野規が打ち立てた方策で、1960年代から今までずっとこの方式が取られていて、連載が一度でも途切れたり、先の展開によって順位が変動するので漫画家の苦労が窺い知れます。


この方策によってジャンプで10週〜15週までしか続かない作品が多く存在します。
掲載する順番はアンケート結果を元に副編集長が週ごとの雑誌構成を考えて決定されます。
基本的に人気の作品から掲載されることになっていて、票が多ければ誌面の前面に掲載され、人気が高くなる傾向がありますが、人気順位が低ければ誌面の後ろのほうに下げられたり、他の読者年齢の違う漫画誌に変わったりします。


ジャンプの読者の間では、この制度には否定的な意見が多くあります。
「安心して読めない」「ストーリーを最後まで完結させるべきだ」などの声が見受けられます。

打ち切りについて

ある作品が連載打ち切りの危機に陥っていて、作者はジャンプの読者の2割が女性だということを知って、女子高校に出向いてサインを書くなどの営業活動に勤しんだそうです。
するとアンケート人気投票の結果は堂々の第1位を記録したということです。
一番人気がなく、連載が続かなかった作品は「紅三四郎」で、1969年の10号から13号に全4話しか掲載されませんでした。


逆に今でも連載が続いている作品は「こちら亀有公園前派出所」です。
ちなみに読者アンケートでは終わらない作品があります。
「こちら亀有公園前派出所」
「ジョジョの奇妙な冒険」
「ROOKIES」
「HUNTER×HUNTER」

これらの作品は昔からジャンプの看板的な作品として評価されているので、人気投票には影響されません。